報道でご存じのとおり、2009年5月末に大型補正予算が成立し、「総額14兆円超におよぶ追加経済対策」の実施が決まりました。
そのなかから、新築・中古マンションを含む住宅購入の促進を目的とした施策のポイントを、整理してご説明します。
(1) 中古マンション購入、「フラット35」申込みの流れと、利用のメリット。でご説明した、住宅金融支援機構の長期住宅ローン「フラット35」を、頭金無しで借りることができるようになりました(これまでは物件価格の9割が限度でしたが、融資の上限額が10割になるということです)。
ただし、借入額の上限は8,000万円までとなります。
ほかにも、他のローンからの借り換えにおいてもフラット35を利用できるようにしたり、フラット35Sの技術水準を上回る「長期優良住宅」については金利優遇期間を現在の10年から20年に延長するといった、制度拡充策が追加されています。
それぞれに利用条件が設定されていますので、詳しくは以下、住宅金融支援機構のホームページをご確認ください。
平成21年6月4日より「経済危機対策」に伴う【フラット35】の制度拡充を実施します(住宅金融支援機構)
フラット35の融資上限額が10割となることのメリットは、もちろん頭金の調達に苦労している購入予定者が、住宅を買いやすくなるということです。
フラット35は固定金利ですので、将来の金利上昇を考えず月々の返済額を固定したうえで先々の返済計画をたてることができる点は、確かにメリットです。
しかし頭金をゼロで設定すると、単純に月々の返済額がその分増加するわけですし、そもそも頭金の調達が難しい状況の人が、長期固定ローンを組んで大丈夫なのか...といった懸念の声があがっていることも、頭の片隅には置いておきたいものです。
(2) 2009年1月1日~2010年12月31日までの二年間限定の措置ですが、「住宅の購入・改修資金などにかかわる贈与税の非課税枠」が、現在の(贈与税が課税されない上限額である)基礎控除枠110万円に特別に500万円がプラスされ、「最大で年610万円」まで非課税となりました。
注目すべきは、この「加算される500万円の贈与税非課税枠」については相続税との通算がなく、独立したお金として贈与を受けることができる点です。
「相続時精算課税の特例」というものがあり、これは親から子への贈与については一定の非課税枠内の金額(最高で3,500万円まで)なら贈与時に課税せず、実際に相続が発生した段階で、相続税で精算するという制度です。
こちらの特例と今回の二年間限定の制度と、どちらを使うほうが得なのかは購入予定者がおかれた状況によっても異なるため、本気で利用を検討する場合は双方をきちんと計算して、節税見込額を比べてみる必要があるでしょう。
ただ相続時精算課税の特例を利用する場合、贈与分の金額は相続時に相続財産に加算されて(相続税が)計算されるので、本質的には「課税分の繰り延べ」になるわけです。
今回の二年間限定の贈与税の非課税枠500万円は、将来に引き継がれるものではない(相続時に金額が合算されて相続税を計算されることがないということです。ただし、相続前3年以内の贈与は除かれます)ので、もし住宅資金として610万円までの贈与を期間内に受けられるチャンスがあるならば、おそらくは利用するほうが恩恵を受けられることになるでしょう。
しかし今回の施策については、まず住宅購入資金としてこの金額を贈与してくれる親なり祖父母なりがいることが前提となること(そのため「金持ち優遇策」との批判もあがっています)、贈与資金が数千万円以上など大きくなる場合には「相続時精算課税の特例」のほうが減税効果が高くなる公算が高いので、今回の措置の利用者は最終的にそう多くならないのではないか...と言われています。
いずれにせよこれは、2010年末までに住宅取得・改築にかかわる贈与を親などから受けられる可能性のある人に限って関わりのある話です。
金融資産の6割近くは60歳以上に集中しているとのことですが、これら高齢者の保有資産を子や孫の住宅購入を通じて流動化したい、国の思惑がみてとれる施策ですね。
中古・新築マンションをこれから購入しようとする層で、今回の追加経済対策の恩恵を受けようとする人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか。
後日になんらかの検証が成されることでしょうが、その利用動向には注目しておきたいものです。