中古マンションを購入するときに注意しておきたいのは、住宅ローンにおいて「新築マンションのようにあらかじめ提携ローンが用意されていないこと」です。
したがって、ローンを組むためには、個別に金融機関と交渉する必要があります。
よって、自分がどの金融機関で、どんな条件の住宅ローンを組めるかについては、これはと思う金融機関にはあらかじめ問い合わせ、自分なりに借入と返済のシミュレーションを行っておいた方が良いでしょう。
もっとも、マイホームとなる中古マンション購入なのですから、自分が納得できる物件が見つかったときにすぐに購入手続きの体勢がとれるよう、日頃から備えておきたいものです。
したがって、やはり物件価額の1、2割くらいの頭金は、手元資金として用意しておきたいものです。
「フラット35」によるマンションの物件評価
中古マンションにおいては、住宅金融支援機構(旧 住宅金融公庫)が提供する「フラット35」という名の、最長35年の固定金利住宅ローンがあります。
フラット35は、通常の住宅ローンで必要な保証人・保証料もかからず、繰上返済時や返済条件変更時の手数料も必要ありません。
フラット35では融資を受ける前に、資格を有する建築士(適合証明技術者)が、住宅金融支援機構が定めた、建築基準法以上となる独自の技術基準にもとづいて、申請された物件の検査を行い、その評価を行います。
この独自基準は、「住宅の規模・規格」「断熱性」「耐久性」「維持管理」などの観点から、定められています。
中古マンションの場合、具体的には、建物の構造や耐震性、劣化の状況に加えて、維持管理基準として管理規約に所定の事項が定められているかといった点や、自分ひとりで調べるのが難しいような長期修繕計画の状況などについても、チェックが及んでいます。
(中古マンションの具体的な基準項目については、こちらをご参照ください)
この「フラット35」の融資制度は、本来的には、金融機関がマンションの担保価値を図るためにあるものですが、関連してマンションの建物評価のための細かな点についてさまざまなチェックが入るため、検討物件の質について客観的な評価を知りたい、という購入検討者にとっては一石二鳥と言えるでしょう。
中古マンション購入においてフラット35を利用する場合は、物件検査の申請を行ったうえで、合格した場合は「適合証明書」を、検査機関または適合証明技術者からもらう必要があります。
この「適合証明書」を、融資を受ける際に、金融機関に提出することになるわけです。
「フラット35」の具体的な申込み方法などの詳細については、住宅金融支援機構 「フラット35」をご覧ください。
ちなみに、2009年5月に成立した大型補正予算(追加経済対策)により、フラット35の制度が拡充され、頭金無しで借りることができるようになりました。
また、フラット35は他のローンから借り換える場合にも利用できますが(借換融資)、借り換えの対象となる住宅は、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合している必要があります(借換融資の利用条件・手続き・取扱金融機関などについては、以下をご参照)。
【フラット35】借換融資のご案内(住宅金融支援機構)
なお上記の物件検査の後で、適合しない項目があって「不合格」となった場合、フラット35の利用はできなくなりますが、その場合においても、発生した調査費用(正式には「適合証明手数料」と呼ばれています。4万~10万円程度はかかるようです)は払わなければなりませんので、その点は注意しましょう。
この場合は、希望していた物件が優良とまではいえないという事実を、買う前に未然に把握できたわけですから、いわば安心を得るためのチェック料を支払ったことになるわけで、その意味では決して無駄な出費ではないはずですよね。
なお、フラット35は、マンションの担保価値に重点が置かれてチェックが成されますので、管理状態など「自分がもしそこに住んだ場合の生活の質」という面については、やはり他のコラムでお話したようなさまざまなチェックを、自分でひととおりきちんとする必要があるということに、注意しておきましょう。
またフラット35の一種で、当初5年間(または10年間)の融資金利についてフラット35よりもさらに0.3%金利が優遇される「フラット35S」も用意されています。
フラット35Sのご案内 (住宅金融支援機構)
省エネルギー性や耐震性、バリアフリー性や耐久性・可変性のうち2つ以上の条件を満たすことが必要で、フラット35より一段優良住宅としての基準要件が厳しくなっていますが、その分だけ金利も優遇されるというわけです。
フラット35をすでに申し込んでいる場合でも、「フラット35S」への切り替えは可能です。
購入を考えているマンションが「フラット35S」の対象になるかどうかについては、不動産会社に問い合わせてみるとよいでしょう。
なお、金融機関の一部では「フラット35S」を扱っていないところもありますので、対象金融機関かどうかは、金融機関のお問い合わせ窓口(フラット35)にてご確認ください。