新築マンションへの入居時においては、事務管理業務・管理員業務・清掃業務・設備管理業務を請け負う「管理会社」が、すでに決定されています。
たいていの場合、マンション販売を行った不動産会社のグループ企業で、管理業務専門の会社であることが多いです。
その意味では、「マンションは管理を買え」という、まさに言葉どおりの状況となっているわけですね。
「管理委託契約書」を国交省のモデル契約書と比べてみる
通常、新築マンションの購入時には、マンションの管理規約と共に、マンションの管理組合が管理会社にどのような業務を委託したかについての内容を列挙した、「管理委託契約書」が手渡されます。
管理会社は、ここに記載された業務を行うことになりますが、これを逆から見ると「ここに書かれていない業務は行わない」ことになります。
たとえば、「管理員が週3日清掃を行う」と記載されている場合、管理員が所定の3日間以外の日においてマンション掃除をすることは無いわけで、たとえ清掃日以外の日にマンションの前が汚れていたとしても、入居者の側からは「いつもきれいに掃除されていないのは、マンション管理の不備である」とまでは言えないわけです。
もちろん、管理委託の内容については、入居後に、管理組合と管理会社との契約内容の変更として行うことは可能ですが(上記でいえば、清掃日を週3日から、週5日契約に変更するなど)、その分は管理会社に支払う費用の増加、すなわち、自ら支払う管理費の増加となって、いずれ返ってくることになります。
したがって、この「管理委託契約書」の内容がどのようになっているかを、新築マンション購入前に確認しておくことは、入居後の管理がどうなるかについてのイメージを描くためにも、非常に重要です。
入居時に「管理規約」をよく読まれる方は多いのですが、「管理委託契約書」までチェックされる方は、案外と少ないものです。
販売する不動産会社に、「管理委託契約書」のコピーを請求してみるとよいでしょう。
不動産会社によっては、「内容が現時点で確定していない」といって、「管理委託契約書」のコピーを渡すのを渋るところもありますが、そこは「変更の可能性を承諾するので、ぜひ頂きたい」と伝え、交渉してみるのがよいでしょう。
この「管理委託契約書」は通常、国土交通省の契約書モデルである「標準管理委託契約書」に準拠して作成されているはずです(参考 マンションの管理委託契約に係る標準管理委託契約書について〔国土交通省〕 )。
したがって、この「標準管理委託契約書」との間でどれくらい違いがあるか、あるいはほぼそのまま流用しているだけに過ぎないのか、などに着目しながら、チェックしていくのがよいでしょう。
「標準管理委託契約書」をほぼそのまま使用している管理会社であれば、むしろ渡すのを拒む道理はないはずですし、あくまで契約後でなければ渡せない、と言い張るような場合は、減点せざるを得ないでしょう。
逆に、「標準管理委託契約書」から内容的に踏み込んで、よりそのマンションの個別事情に踏み込んだ契約内容へと変更がなされている場合には、入居後のマンション管理への配慮の面から、高く評価できます。
「管理説明会」を開催する物件には、積極的に参加を
最近の新築マンション販売においては、管理会社名を明示した「管理説明会」を、モデルルームなどを会場として、開催している企業もあります。
このような「管理説明会」は、当然ながら販売戦略の一環として行われるため、多少営業色が強くなる面は否めませんが、それでも自社販売物件のマンション管理における自信の現われである、と言うことができます。
よい機会ですので、その物件を購入対象と考えている場合は、このような「管理説明会」には積極的に参加し、質問などもしてみるのがよいでしょう。
出席前には事前に「管理委託契約書」のコピーを入手し熟読しておくことで、その販売会社・管理会社の実力をさらに深く測ることもできます。